薬味は、料理をより美味しくいただくための脇役というイメージがありますが、どうして薬味には「薬」という漢字が使われているのでしょうか。
これは、中国最古の薬書といわれる「神農本草経」の「五味」という考え方に関係があるようです。
「五味」とは「酸味」「苦味」「甘味」「辛味」「鹹味」(塩味)の5つの味のこと。
食べ物にはそれぞれの味ごとに効能があり、それを考慮して食事に取り入れていくことが重要であるという考え方から、この五味を薬味と呼ぶようになったそうです。
例えば、お寿司に添えられるショウガの甘酢漬け(がり)は、お口直しの効果もありますが、生魚の毒消し、つまり殺菌や消毒の働きがあります。
さらには、消化吸収を助けたり、生もので胃腸が冷えないようにする役目もあります。
薬味の主な役割には以下のようなものがあります。
1.薬味の香りで食欲増進
2.薬味の香りと成分が肉や魚などの素材の臭みの抑制と味の調整
3.薬味の殺菌作用で食中毒の予防
4.薬味の持つ色で彩りアップ(見た目でも食欲増進)
5.薬味と食材の相乗効果で風味がアップ
6.その他、血流促進、発汗作用、疲労回復、風邪予防など
しょうがの他にも、ねぎ、みょうが、唐辛子、山椒、こしょう、柚子、三つ葉、 わさび、にんにく、大根、しそ、ごま、梅、からし、柚子ごしょうなど、日本には様々な薬味があります。
夏の暑い時期や冬の寒い時期は、特に積極的に食卓に薬味を取り入れていただくと良いと思います。